鎌倉朝日新聞 (12月1日号 2022年 第525号)

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ウクライナの子どもの絵=ロシア侵攻前(左)と後(右)

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自分の作品の前に立つ浅野さん=自宅のアトリエで

ウクライナの子どもたちの絵画展

ロシア侵攻後に描いた作品も

ウクライナの子どもたちの絵を中心に、世界の子どもたちが描いた絵が、12月14日~19日、鎌倉生涯学習センターで展示される。 「ウクライナの子どもたち 1000枚の絵~巨大じゃがいもアート館 巡回展」という企画で、ウクライナの子どもたちの作品を中心にした展覧会。ウクライナの6歳の子がロシアの侵攻前に描いた絵と、侵攻後、その子が地下の避難場所で描いた絵をデータで取り寄せた展示もある。色彩豊かな建物や動物などの絵を描いていた子どもの心に侵攻後、どんな変化があらわれているのか、現在のウクライナの日常を物語る。 絵は、鎌倉市在住の造形作家・浅野修さん(85)が、「NPO十勝めむろ赤れんが倉庫」を立ち上げ、北海道十勝の赤れんが倉庫を改修して2015年に開館した「巨大じゃがいもアート館」で展示しているもの。 浅野さんは、40年以上続くコンクール「カナガワビエンナーレ国際児童画展」の審査員を2015年に務めたとき、「優劣をつけることは不可能」とコンクールの審査後、落選作を譲り受けたいと申し出て廃棄される絵を守ったのをきっかけに、世界の子どもの作品を集めている。10年以上の間に約150カ国の作品10万点余りを収集して保管。同じゃがいもアート館で毎年、入れ替えて約2万点を展示している。 ウクライナの平和を願い、今回、鎌倉で展覧会を開催する。浅野さんがジャガイモ畑の防風林の廃材で作ったジャガイモを模したオブジェも展示して、畑を守ってきた木が子どもたちの絵を守る空間を表現する。 浅野さんは「子供はごまかさない。多くの方に絵をご覧いただき、展示を通じて平和を呼びかけたい」と話している。



北鎌倉で「みんなの小津会」

佐野史郎さんをゲストに

映画文化の草の根振興に取り組むNPO法人湘南遊映坐(岡博大理事長)の「第15回予約扁ZEN映画祭が、12月10~25日、北鎌倉の寺院や江の島で開かれる。 今年のメイン企画は、12月11日の、遊映坐文庫『小津三昧』(3面に紹介記事)出版記念イベント「みんなの小津会」。 午後1時から建長寺妙高院で映画上映とトークイベントを開催する。 ▽映画上映『東京画』(ヴィム・ヴェンダース監督、1985年)。小津監督の足跡を辿った〝聖地巡礼〟ムービー。
▽映画交流会「一期一映」。ゲストトークは俳優・佐野史郎さん。
岡理事長は、「なぜ小津映画が世界で評価されるのか、その源泉をゲストや観客の皆さんといっしょに探り、次世代へ継承していくことを願っています」と話す。 「みんなの小津会」の入場料2500円、学生1500円。
問い合わせ湘南遊映坐 0466・65・0123


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鎌倉みほとけ紀行(127)

覚園寺 十二神将・戌神将立像

「鎌倉殿の13人」もいよいよクライマックス。 激動の鎌倉時代を駆け抜け強(したた)かに生き抜いた主人公北条義時。その言動には謎めく物語があります。 建保6年(1218)7月、源実朝公の左(さ)近衛(こんえの)大将(だいしょう)の直衣(のうし)始(はじめ)が鶴岡八幡宮で行われました。臨席した義時は疲労で仮眠したところ、戌神将(白い犬)が出現「来年神拝の事があったら供奉(ぐぶ)するな」と預言したというのです。これに感応した義時は同年12月、大倉薬師堂(覚園寺の前身)を落慶しました。すると翌年、歴史的大事件が起こります。承久元年(1219)、源実朝公が暗殺、鶴岡八幡宮大階段に倒れました。その日、義時は御剣の役でしたが直前で源仲章に譲り、義時自身は難を逃れたのです。(代役を務めた仲章も殺害されました)。 謎めく逸話が残りますが、白い犬こそ十二神将像の戌神像が姿を変えたもので、義時に危険を知らせるために現れたというのです。後に義時は薬師堂にお礼参りしますが、薬師堂内には十二神将のうち戌神将が居なくなっていました。夢のお告げの戌神将としてその霊験は高く、本尊薬師如来と共に多くの信仰をあつめています。 覚園寺はいまなお、霊験あらたかな聖域が守られています。今日も仲田順昌住職が、拝観者にコロナ禍でも来訪参拝くださったことへの感謝を込めて、明るく声をかけておられました。まさに中世鎌倉、北条義時由来の寺院の息吹を感じる思いでした。
木造、彩色、玉眼、像高152・6㎝、南北朝時代。


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「ひと」
100周年を迎えた鎌倉鳶(とび)職組合の組合長

金井 康悦(かない やすよし)さん

コロナ禍でできなかった100周年の祝賀会を、11月6日に鶴ヶ岡会館で開いた。若手の集まり、若鳶会の70周年も同時に祝った。 木遣りや梯子乗り、まとい振りといった伝統文化を守り伝えてきた。組合に伝わる文献によると、遅くとも1842年(天保13)には組織があったとみられるが、組合規約ができた1920年(大正9)を発足の年としている。 「建設は鳶に始まり、鳶に終わる」という。高所で作業をする鳶職が足場を組んでから工事が始まり、工事の最後に足場を解体する。かつてはその後の外溝工事も鳶職が請け負った。江戸時代は火消しも鳶の重要な役割だった。 ところが近年は、足場は足場、基礎工事は基礎工事と分業化が進み、なんでもひきうける鳶職は少なくなった。かつて50~60人いた組合員もいまは17人、若鳶会も組合員との兼務を入れて8人だという。 「以前は上棟式で木遣りを歌ったものだが、いまではそんな機会もなくなった」と、残念がる。 2009年(平成21)から組合長を務めている。父の柾次さんも4代前の組合長だった。30歳を過ぎてから組合に入ったので、人前で披露したことはないが、梯子乗りも練習した。危険と隣り合わせの仕事。20年以上前に上棟式で2階から落ち、足を折ったこともあるという。 1月4日には鶴岡八幡宮で手斧(ちょうな)始式がある。儀式に使うご神木を二ノ鳥居から祭場まで、神職に続いて、木遣りを歌いながら運ぶのが鳶職の役割だ。式の後には、舞殿前に梯子を立てて、梯子乗りを披露する。1月6日の消防出初め式にも梯子乗りはかかせない。 その練習は11月末ごろから始まる。仕事を終えた7時半ごろからで、腰越の神社の境内などがけいこ場だ。1本の梯子を押さえるのに12人必要。その上での軽業のような演技は、若手の乗り子の見せ場だ。一人前になるには3年かかる。ところが去年まで5人いた乗り子が2人やめた。一方で、学校の先生になってからも正月の行事にだけは出る人もいるという。 かつて鳶の仕事は親から子に伝えてきた。いまでは鳶職の技能検定に外国人が多く受けに来るという。外国人を雇う事業所も増えて、時代の変化を感じている。 「鎌倉のお屋敷には昔は出入りの鳶職がいて、その家のことは何でもしたもの。鳶職がほかのいろんな職人を手配することも多かった」と懐かしむ。正月にはそんな得意先を、獅子舞を先頭にあいさつ回りし、家の前で梯子乗りを披露することもあったという。68歳。
(文・写真 真田正明)


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先端医療センター棟(D棟)

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救命救急センター・外傷センター棟(B棟)

救命救急・がん治療センター増築 最新鋭で稼働

湘南鎌倉総合病院で記念式典

鎌倉市岡本の湘南鎌倉総合病院で2019年5月から行っていた増築・改修工事が完了し、11月5日、グランドオープン記念式典が開催された。 同院は、2021年4月に先端医療センター(D棟)を新設、また、増加傾向にある救急搬送や外傷患者に対応するべく、2022年の4月に救命救急センター・外傷センター(B棟)をオープンしている。 式典では、徳洲会理事長の東上震一さんが、工事が完了したことの意義を話し、医療・介護・福祉へ貢献していくと挨拶。テープカットのセレモニーがあり=写真、式典後、院内見学も行われた。 先端医療センターには、がんの3大治療の一つである放射線治療に特化したPET/CTや陽子線治療装置を稼働させている。 小林修三院長(67)は、「その人がいかに幸せに生きるか(ウェルビーング)を考えた医療を展開していきたい」と抱負を語った。


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20周年記念でウクライナ避難者を支援

鎌倉廃棄物資源協同組合

鎌倉廃棄物資源協同組合の20周年祝賀会が10月29日、市内のホテルで開かれ、組合員ら約80人が参加した=写真。 同組合は、2003年4月1日設立。現在20社が登録し、鎌倉市受託で市内の燃やすごみ・植木剪定材・ペットボトル・不燃ごみ・製品プラスチックの収集のほか、粗大ごみ収集運搬、事業系廃棄物収集運搬などを行っている。 祝賀会では、最初に代表理事の小林健さんが、「20年の節目を迎えたが、この先も事業を継続し、後進に引き継いでいきたい」と挨拶した。 20周年記念事業として、会場で鎌倉市のウクライナ避難民支援の寄付金20万円が松尾崇鎌倉市長に手渡された。 鎌倉に避難しているビクトリアさん(47)、アルトゥール(13)さん親子も招待され、アルトゥールさんがウクライナで楽しんでいたというバスケットボールとシューズ購入商品券が贈呈された。二人は感謝を述べ、「日頃から鎌倉のまちのルールを守り、ごみの分別をしている」と話した。ウクライナでも日本ほど細かくないがごみの分別をしているという。 「組合員の皆さんはみんな元気ですばらしい」と日本での初めてのパーティーを楽しんだ。


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実朝役・柿澤勇人さんがパレード

鎌倉で交通安全キャンペーン

「交通安全大使委嘱式及び交通安全キャンペーン」が11月5日鎌倉で行われ、交通安全大使の委嘱を受けた、NHK大河ドラマで源実朝役を演じる柿澤勇人さんらをのせたオープンカーが若宮大路をパレードした=写真。 神奈川県内の交通事故抑止と地域文化の振興を目指し、県警と大河ドラマ「鎌倉殿の13人」鎌倉市推進協議会が共同で行った。 鶴岡八幡宮境内鎌倉文華館鶴岡ミュージアム前で委嘱式あり、警官の制服と帽子姿で現れた柿澤さんは、県警本部・川名愛司交通部長から交通安全のたすきと、委嘱状を受け取った。川名交通部長は「交通事故は歩行中が多く、帰宅時間に目立つ。事故を防ぐために反射材の携帯や着装をお願いしたい」と話した。 柿澤さんは「大使役を拝命するのは初めてで身が引き締まる思いです」と話し、鶴岡八幡宮に三谷幸喜さんと来た時から2年ぶりの鎌倉で、「日ごろ車を運転しているが、ルールを守ること、あせらず、おちついて行動するようにしている」と市民に交通安全を含めた安全な生活を呼びかけた。 パレードでは、鎌倉女子大学マーチングバンド部の先導で、柿澤さんが車から沿道の市民や観光客ににこやかに手を振って応えていた。パレードの後、反射材が配布された。


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スポチャンの特別演武

鎌倉でスポチャン

ねんりんピックかながわ

第34回全国健康福祉祭神奈川・横浜・川崎・相模原大会「ねんりんピックかながわ2022」が11月12日~15日の4日間、横浜をはじめ県内各地で開かれた。新型コロナウイルス感染症の影響で3年ぶりの開催。 60歳以上の高齢者を中心とするスポーツ・文化・健康と福祉の総合的な祭典で、県内26の市町で、卓球やソフトバレーボールなど32種目が行われた。 鎌倉では、今回初種目となるスポーツチャンバラ交流大会が13日鎌倉武道館で開催され、全国から13チーム約40人の選手が参加した。 個人戦5種目のうち基本動作で優勝した高知県の野村美雪さん(60)は競技歴28年で5段。「静と動をしっかり決めていくことが大切」と話した。準優勝は神奈川県の元木功さん(2段)。 団体戦では、滋賀県チームが優勝し、神奈川県チームは3位に入賞した。


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スポチャンの特別演武

絵本「絵巻 万葉ものがたり 」発刊

野の花画家・阿見さんの集大成

鎌倉市在住の野の花画家・阿見みどりさん(85)がライフワークとして半世紀抱き続けてきた「万葉集の世界を絵本にして伝えたい」という思いが実り、〝絵巻仕立ての 子どもにもわかる万葉集〟の絵本『絵巻 万葉ものがたり』が発行された。 2013年の発心から10年がかりで制作した「絵巻 万葉ものがたり」の1巻から4巻(上下2軸ずつ)の絵巻を1冊の本にまとめたもの。上段に絵と筆字で添えられた和歌があり、下段に現代語訳と英訳がある。 万葉集の4500首余の和歌から100首を選び、第1巻「万葉びとの自然観」、第2巻「愛」、第3巻「想い」、第4巻「草花」のテーマごとに分類している。 阿見さんは、万葉学者の父(故・山口正 解釈学会創設者)のもと、幼少の頃より万葉集に親しみ、画は長谷川朝風画伯に師事した。中学生時代の鳥獣戯画との出あいから絵巻の世界に魅かれていった。「これまでの集大成のつもりで作った。中学生や、世界の人たちに、万葉集を身近に感じてもらいたい」と話していた。
本は3,080円(税込み)、銀の鈴社刊 0467・61・1930


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情熱の国の魅力を市民団体がPR

逗子でスペインまつり

昨年の五輪大会でホストタウンとしてスペインセーリングチームの事前キャンプを受け入れた逗子市で11月12日「スペインまつり」が行われ、約7百人の市民が参加した=写真。 会場の逗子文化プラザ市民交流センターとフェスティバルパークでは、スペイン語講師・山田るりこさんのスペインの歴史や建築、食文化などを織り交ぜた講座や、同時開催の「中庭カフェ」には市内のスペイン料理店が出店するなど、スペインの魅力を発信。 4つのフラメンコチームによるステージが披露されると華やかさと迫力に満ちたダンスに観客が拍手をおくった。 一昨年、逗子市はスペインセーリングチームとの交流会などで市民との橋渡しを担うサポーターを約2百人集めた。昨年の五輪で選手らは男子フィン級と同470級で銅メダルを獲得したものの、コロナ禍でほとんど市内での交流の機会を持たないまま今年3月に市民サポーターは解散。その後にホストタウンとしての経験を活かそうとボランティアの実行委が立ち上げられ、今回の催しにいたった。 市民サポーターも務めていたフラメンコ歴15年の龍村恭子実行委員長(42)は「逗子とスペインは人の温かさや地域のつながりが似ている。今後も同国の様々な芸術性を取り入れて続けていきたい」と語った。(K)


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本覚寺で地元の劇団が演劇

日蓮聖人降誕8百年記念

日蓮宗本山本覚寺本堂で10月29日、「不愉快なみほとけ~日蓮聖人殺害計画」と題して地元鎌倉の紅月劇団による日蓮聖人劇が午後2時と6時の2回開催され約160人が観賞した=写真。 今年は、宗祖日蓮聖人御降誕800年にあたり、旧鎌倉市内の18の日蓮宗寺院からなる日蓮宗神奈川県第2部鎌倉組寺院教会(鎌倉組)が、プロジェクトチームを組織して取り組んでいる慶讃事業の一環で行われた。 日頃参拝できない本堂での初めての演劇上演で、市重要文化財の釈迦如来の前で、龍口法難を題材に忍性や北条時宗に扮した役者たちが劇を展開し、日蓮聖人を浮かび上がらせた。 脚本・演出で出演もした同劇団代表の石倉正英さん(55)は、「本堂が受け入れてくれる気がした。こんなすばらしい舞台に立たせてもらえてこの上ない喜び」と感謝を述べ、「作品のねらいは、お客様が見終わって自由に考えてもらうことです」と思いを語った。


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アジアの高校生が茶道体験

アジア諸国で日本語を学ぶ高校生を日本全国の高校に招聘し、日本人高校生との国際交流を深めることを目的とした、文部科学省補助事業「アジア高校生架け橋プロジェクト」で来日中の生徒たちが、鎌倉市扇ガ谷の英勝寺で開かれた茶道体験教室に10月15・16・30の3日間参加した。 参加したのは、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア、トルコなどからの7人とアイスランドからの留学生の高校1年生8人。日本の中高生とともに、初日は茶室に席入りして、お菓子をいただき、お点前をみながらお茶のいただき方を習った。 2日目は、袱紗捌きに挑戦=写真。初めて触る袱紗に生徒たちは興味津々。袱紗をたたんで懐に入れること、取り出した袱紗を右手で持ち上げ、三角にしてたたんでいくやり方を習い、袱紗でなつめや茶杓を清めることを教わった。 茶碗に入った抹茶を茶筅でたてる体験もした。生徒たちは先生の話す日本語を聞き、真剣に稽古に取り組んだ。 最終日は、3人が盆立てのお点前をした。ガンボーくん(モンゴル)は「正座で足がつらかったけれど、楽しかった」。シーファーさん(インドネシア)は「お茶の泡がうまく立ってうれしかった」と、新しい体験に顔を輝かせていた。


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『小津三昧』

山内静夫さんの遺志継いで出版

小津安二郎監督の名作映画の魅力を後世に継承しようと「湘南遊映坐」(岡博大理事長、藤沢市)が、文庫本『小津三昧』を出版した。 同遊映坐は、湘南・鎌倉を拠点に、映画を中心に多様なアートに親しめる場を創造しようと発足した市民団体で、2008年から「予告篇ZEN映画祭」を開催している。昨年亡くなった元小津組プロデューサーの山内静夫氏は、同団体の理事として活動をサポートし、毎年北鎌倉で「みんなの小津会」を遊映坐と開催していた。 この本は、山内氏の遺志を継いで、「みんなの小津会」の貴重な内容をまとめている。 「小津映画は奇跡です」のヴィム・ヴェンダース監督の文から始まり、俳優の柄本明、加瀬亮、司葉子、料理家の辰巳芳子、建築家の隈研吾、絵本作家の葉祥明ら、鎌倉ゆかりの各界の識者の寄稿文やインタビュー記事、対談記事を載せている。山内静夫氏の語りも掲載。
1500円(税別)
申し込みは湘南遊映坐・岡さん 0466・65・0123


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『新陰流の極意』(左文右武堂)

「文学つれづれ」の連載を終えて

赤羽根 龍夫

2004年(平成16)1月から今年の5月まで、月1回の連載で19年間続いた連載を終えた。 立原正秋もよく飲みにきたという東急地下の居酒屋「紺」の後を引き継いだ「藍」で出会った「鎌倉朝日」の前編集長、中村藤一郎さんからの依頼であった。   「文学つれづれ」というテーマなので、第1回は徒然草の「つれづれなるままに」と「欲望的文学論の試み」と銘打って、文学作品を生み出した作家の欲望に注目して始めた。 第2回は与謝野晶子をとりあげた。有名な「大仏は美男におわす」の歌は、晶子が実際に鎌倉に来て詠んだ実景歌ではなく、大仏によく似た鉄幹賛美の空想歌ではないかという説を提出した。 続けて万葉集から源氏物語、平家物語、小野の小町、西行、芭蕉。近代では透谷、鴎外、漱石、立原や川端康成、他に能楽や日本の祭りまで、多くの分野を題材とした。 私の本業は大学で哲学を受け持つ教員なので作品そのものよりも、その作品を生み出した作家の心=欲望に関心があった。読者の方から「探偵小説のように面白い」「人間を感じる深さに驚嘆しています」などの批評を頂いた。その声が地元の出版社、冬花社の本多順子さんに届き、2014年には『作家の心を旅するー鎌倉文学散歩』として出版された。 私の学際的研究は別に江戸思想の研究がある。江戸時代が250年の間、戦いのない平和が続いたのは、徳川将軍家のお家流になった柳生新陰流の「活人剣」思想があるのではないかという予測の元、柳生新陰流の技を直接に学ぶことにした。 各地の道場を調べ、名古屋の春風館道場に江戸時代の武士が遣ったままの新陰流が伝えられているということを知った。大学での授業が終わると毎週新幹線で名古屋に通い、夜7時から10時まで稽古し、そのあと名古屋駅の近くのホテルで撮ったばかりのビデオで技を支える心を探求した。 その成果を10年後に『柳生新陰流を学ぶ』として出版した。 その後、春風館道場に武蔵の若い頃の流儀「円明流」が伝えられていることを知り、新陰流だけでなく表看板である貫流槍術共々武蔵の円明流の稽古を続け、併せて今日まで10冊出版した。鎌倉朝日にも毎回紹介して頂いた。 最近はNHKの「明鏡止水」で武蔵の「円明流」を、「趣味どき!」の「刀剣」では貫流槍術を取り上げて頂いた。     私も人生の最終ラウンドに近くなり、「文学つれづれ」は最後に国民文学の最高傑作といわれる吉川英治の『宮本武蔵』をとりあげ、193回「小林秀雄の武蔵観」で終了した。  それに続き、武術の方も今年7月、新陰流研究の総決算として『新陰流の極意』(左文右武堂・アマゾンでのみ販売)を上梓した。 今は毎朝2時間、小町通りの「コメダ」コーヒー店で、少年の頃からの憧れであった武蔵の極意について考えを巡らせ、週に2度、鎌倉体育館で私の主宰する「新陰流・円明流稽古会」で日本人のアイデンティティーの元となる伝統的腰腹文化を取り戻すべく「長生きも芸の内」とうそぶきながら老剣を振るっている。
(神奈川歯科大名誉教授)



暮らしの彩り、日々の道しるべに

2023年版カレンダー

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鎌倉・逗子の四季

IZA鎌 倉

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で盛り上がった鎌倉。鎌倉市観光協会が作製した、今回23作目のカレンダーは「IZA(いざ)鎌倉」。 鎌倉の伝統行事の流鏑馬、静の舞、薪能が表紙を飾り、2カ月ごとに鎌倉ならではの風景写真を掲載している。写真は主に同協会主催の「鎌倉プロモーションフォトコンテスト」の入選作品で、1・2月は明月院の円窓と雪景色「雪の悟りの窓」(吉川亜紀さん)、3・4月は建長寺の満開のサクラ「春爛漫」(早野未明さん)、7・8月大輪のハスから飛び出してきたハチ「夏だ飛び出せ」(三井田ひろみさん)、9・10月は夕日に照らされて走る江ノ電「サンセット・トレイン」(井上貴子さん)11・12月は紅葉と横須賀線の流し撮り「横須賀線 紅葉流し」(田口禎児さん)と、いずれも創意あふれる作品が揃っている。 日干支や鎌倉市寺社の花暦も掲載し、鎌倉散策にも役立つようにしている。 B4判、1320円(税込み)。同協会事務所(鎌倉市御成町)のほか鶴岡八幡宮境内の鎌倉殿の13人大河ドラマ館売店などで販売。
同協会 0467・23・3050

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鎌倉彩光

本紙1面「鎌倉みほとけ紀行」でおなじみの“古都グラファー〟原田寛さんの作品集「鎌倉彩光」。 『湘南スタイル』の編集で、鎌倉の四季12景を1カ月ごとに掲載。 表紙の長谷寺のサクラに始まり、1月は雪の浄智寺、2月の常立寺のウメ、3月の九品寺のボケ、4月の鶴岡八幡宮のサクラと寺社を彩る花々が色鮮やかに写し出す。 7月の本覚寺のハスや11月の妙本寺のイチョウ黄葉からは神々しさがかもし出され、10月の稲村ガ崎の海岸に咲くツワブキの向こうに望む江の島など、鎌倉ならではの風景に心和む。「鎌倉の四季花暦」も掲載している。 1650円(税込み)。
星月写真企画 0467・23・3694

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逗子旅カレンダー、2023「卯」

逗子市観光協会は「逗子旅プロジェクト」企画で過去3回、「逗子旅カレンダーフォトコンテスト」の入賞作品でカレンダーを作製してきた。今年はコロナ禍でフォトコンが中止となったため、「逗子旅サイト」「逗子フォト」の作品で作製。 表紙は、来年の干支、ウサギにちなんで、大崎公園のウサギを型取った泉鏡花文学碑。月ごとに表紙を含めて13点の写真で構成されている。 逗子海岸のウインドサーフィン(1月)・花火大会(5月)・NIGHT WAVE(10月)、小坪漁港のワカメ干し(2月)、小坪須賀神社の夏祭り(7月)、池子の森のフクロウ(9月)、紅葉のまんだら堂やぐら群(11月)など、いずれも逗子ならではの風景が楽しめる。 A3サイズ、500円(税込み)。逗子市観光協会(市役所2階経済観光課内)、スズキヤなどで販売。
逗子市観光協会 046・873・1111

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暮らしとともに

湘南モノレール

「乗って楽しい、撮って楽しい」湘南モノレールの魅力が存分につまったカレンダー。 今年で6回目となる「2023年カレンダーフォトコンテスト」の多数の応募作品から選ばれた入賞作品14点で構成。 表紙は最優秀作品「瞬発閃光」(小路貴さん)で、車両の上部の空間に太陽が入り、まるで車両自体から光が出ているように撮影している。 12月の疾走する写真(宮側雅之さん)から始まり、1月は富士山を背景に(長谷田一平さん)、2月「雪の日」(松山進さん)、3月「そらへ…」(後藤秀人さん)、4月「桜の季節」(矢島崇さん)、5月「ツツジロード・初夏の風」(勢津文忠さん)、6月のアジサイと(林亮一さん)、7月は花火と(和田一彦さん)、8月は海を背景に(山田啓之さん)、9月の田園風景(関根克義さん)、10月「地面すれすれっ!」(石黒泰大さん)、11月「紅葉散策」(桑原浩幸さん)、12月は夜景(竹田孝旭さん)と、力作ぞろい。 見開きA3判、700円(税込み)。
湘南モノレール 0467・45・3181

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江ノ電カレンダー

1902年の鉄道開業から今年、120周年を迎えた江ノ電。 地域の公共機関として生活の中に溶け込むとともに、観光客にも愛されている江ノ電の姿を、藤沢市にアトリエをもつ画家湯浅誠さんが描く。 江ノ電沿線の風景画7点で構成するカレンダーは、今年で12作目。 表紙の「藤沢駅俯瞰(ふかん)」は、江ノ電藤沢駅周辺を上方から捉えた絵で、絵の下に「いざ鎌倉!古は武士の心構え 今は江ノ電で」のコメントがある。 1・2月の「七里ヶ浜の水仙」、3・4月「段葛の桜」、7・8月「海からの鎌倉高校前駅」、11・12月「夕日の踏切」ほか、四季の移ろいの中で江ノ電とともに行き交う人の姿や自転車などがほのぼのと描かれている。 A2判、1300円(税込み)。江ノ電主要駅や売店などで販売。

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江ノ電一日乗車券「のりおりくん」付き卓上カレンダー2023

今回の写真は、「オズマガジン×江ノ電 鎌倉よりみちフォトコンテスト」の6千点以上の応募作品から「江ノ電カレンダー賞」に選出された13点。 表紙は、江ノ電開業120周年のヘッドマークを付けた車両。富士山、夕日、サクラ、アジサイ、鎌倉高校駅、湘南の宝石など、江ノ電沿線の季節の移ろいや人気スポットの写真が月ごとに並ぶ。 タテ175㍉×ヨコ153㍉。使用後はポストカードとして利用可。 1500円(税込み)、藤沢、江ノ島、長谷、鎌倉駅で販売。
江ノ電エリアサービス 0466・23・2351

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古に思いをはせて

万葉 野の花

万葉集に詠まれている野の花を水彩で描き、万葉歌を添えている。絵と書は鎌倉市在住の野の花画家・阿見みどりさん。 1月は小竹とツバキで「小竹(ささ)の葉はみ山もさやに乱るともわれは妹(いも)思う別れ来ぬれば 柿本人麻呂」。7月はネムノハナで「吾(わぎ)妹子(もこ)が形見の合歓木(ねぶ)は花のみに咲きてけだしく実もならじかも 大伴家持」と、月ごとに野の花がしなやかな線とやさしい色彩で描かれていて、添えられた歌も味わい深い。 卓上カレンダーは意訳・英訳付きで1650円(税込み)。 このほか、和紙を使用したA4判額絵カレンダーは、意訳・英訳付き、880円(税込み)。ミニカレンダーは意訳付き550円(税込み)。
銀の鈴社 0467・61・1930

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鎌倉彫カレンダー

中世宗様仏具を源流とする鎌倉彫の中から室町時代~明治・大正期にかけて制作された作品を中心に掲載している。 1・2月の「菊唐草硯箱」から始まり、3・4月「牡丹文軸盆」、5・6月「蓮池文透彫経机」と多様な用途で制作された品々が紹介されている。 7・8月「蝶蜻蛉文硯箱」、9・10月「払子(ほっす)文長方盆」、11・12月「茘枝(れいし)文香合」など、彫りも文様も塗りもさまざまで、仏師を起源とする鎌倉彫の技量の高さがうかがえる。 タテ685㍉×ヨコ330㍉。由比ガ浜の鎌倉彫工芸館と小町2丁目の鎌倉彫会館などで販売。1500円(税込み)。
伝統鎌倉彫事業協同組合 0467・23・0154

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鎌倉能舞台

鎌倉能舞台が発行しているカレンダー。  表紙の「隅田川」に始まり、「高砂」(1月)、「竹生島」(4月)、「羽衣」(5月)、「氷室」(6月)、「現在七面」(12月)など春夏秋冬の能の名場面が紹介されている。 シテを演ずるのは同能舞台主宰の中森貫太さんと、健之介さん親子。 能面や豪華絢爛な衣装は見応えがある。能と狂言について英文で紹介されている。 見開きA3判、1430円(税込み)。
問い合わせ鎌倉能舞台
鎌倉市長谷3―5―13
0467・22・555

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高僧の書と禅語

天下禅林

鎌倉の臨済宗建長寺派大本山建長寺の発行。臨済宗建長寺僧堂柏林室・酒井泰玄老師の揮毫の書で構成。 1・2月の「福禄寿」に始まり、3・4月「雲無心」、5・6月「花無心」、7・8月「瀧自涼風来(瀧自ずから涼風来たる」、9・10月の「日々是好日」11・12月の「担雪填井(雪を担って井を填(うず)む)」で締めくくる。 現代語表記が添えられ、月ごとの同寺の行事予定も記載。書は台紙から取り外して墨書作品として飾ることもできる。 タテ730㍉×ヨコ310㍉。1500円(税込み)。総門左側の朱印所で販売。
建長寺 0467・22 ・0981

鎌倉朝日新聞社

慈 光

北鎌倉の臨済宗円覚寺発行のカレンダー。 臨済宗円覚寺派第218世管長横田南嶺老師の揮毫の書画13作。 表紙の「慈光」から始まり、1月は「日新日日新(日に新たに日々に新たなり)」、4月は「道は前にある まっすぐに行こう 山頭火」、10月は墨絵の上に「廓(かく)然(ねん)無聖(むしょう)」、そして12月「光陰惜しむべし」で締めくくられる。 卓上タイプでタテ10・5㌢×ヨコ20・5㌢。 605円(税込)、境内売店で販売。
円覚寺 0467・22・0478

鎌倉朝日新聞社

鎌倉ボンズくん

寺寺社を中心に鎌倉の魅力を発信するメッセンジャーとして登場したキャラクター「鎌倉ボンズくん」が昨年10周年を迎えるにあたり作られたカレンダーで、2作目。 ボンズくんと相棒犬いるもんのイラストが月ごとに掲載されている。1月は富士山を背に雪だるま、2月は「福来たる」と豆まき、5月はこいのぼりで空を泳いだり、8月はサーフィン、10月はラジオ体操をしたりしてユーモラスに描かれている。 鎌倉の寺社の行事、禅語やお参りの心得も載っている。満月の日マーク入り。 1192(イイクニ)円、鎌倉・北鎌倉・大船・藤沢、各駅周辺の書店や通信販売で。(売り上げの3%を鎌倉風致保存会に寄付)

鎌倉朝日新聞社

アート作品

ほっこりアートカレンダー

障害者の就労支援を目的に活動する特定非営利活動法人「道」は今年設立20周を迎えた。同法人が運営する障害者福祉サービス事業所「道工房」では、障害の有無に関係なくアートをコミュニケーションツールとして会員たちが独創性あふれる制作に取り組み、毎年カレンダーを作製している。 ウサギや妖精、風鈴、夕暮れ、クリスマス飾りなど、どれも豊かな感受性とやさしさあふれ、「ほっこり」する絵画12作品を集めた。 見開きA3判、900円(税込み)。道ギャラリー、島森書店、有隣堂藤沢店などで販売。収益は絵の作者たちのデザイン料に。
道工房 0467・23・8772

鎌倉朝日新聞社

かまくらカレンダー2023

鎌倉在住のイラストレーター伊東雅江さんによるカレンダー。鎌倉近郊の名所や建築物が12カ月を彩る。イラストの解説文(「かまくら茶話」)付き。 タテ10・5㌢×ヨコ14・8㌢、1320円(税込み)。 12月中旬ごろから鎌倉市川喜多映画記念館、たらば書房、一翆堂などで販売。

鎌倉朝日新聞社

木版画高橋幸子2023カレンダー

〝心の版画家〟と呼ばれる逗子在住の高橋幸子さん(81)の2023年のカレンダーは「すてきな焼き菓子の作り方読本」。 1月から12月まで、19枚のほのぼのとした版画にレシピを載せている。 花やカエル、魚やカタツムリ、ネコ、小鳥などが登場し、「愛」「やさしさ」「楽しい仲間」「喜び」などを混ぜ合わせたお菓子が出来上がる。 見開きA3判、1100円(税込み)。
高橋方 046・871 ・5074


*愛読者プレゼント

「鎌倉」を5人、「能」を10人に。往復ハガキに希望カレンダー名と鎌倉朝日の感想、住所、氏名、年齢、電話番号を記入し、1面題字下の住所の鎌倉朝日へ。12月9日消印有効。多数抽選。


鎌倉朝日新聞社

八雲ツアーの皆さんと江の島で=後列中ほどが筆者

心のふる里を行く(49)

八雲と巡る鎌倉・江の島の旅 池田雅之

10月11日は秋晴れですがすがしい天気に恵まれ、私たちは20人ほどで小泉八雲の足跡を巡る鎌倉・江の島バスツアーに出かけた。130年昔、八雲があかず眺めたであろう当地のランド・スケープを追体験する巡礼の旅である。3、4年前から藤沢のカルチャーセンター・湘南アカデミアで八雲と古事記の講座を担当しているが、今回初めて野外活動を行うことになった。 円覚寺総門前に集まり、江の島・藤沢へと至る1日コースの小旅行である。まず円覚寺塔頭・帰源院の富澤ご住職から帰源院の由来や、洪(おお)鐘(かね)のお話を頂き、建長寺の塔頭・円応寺に向かった。寺ではご住職がわざわざお迎えくださった。そして、閻魔様のもう一つの性格、優しさ、包容力について貴重な話をされた。建長寺のご本尊の地蔵菩薩と閻魔様は二身同体といわれていることからも、必ずしも、人間を裁き、地獄送りするだけの仏様ではないことを知った。 それから私たち一行は鎌倉市内を通り、高徳院の大仏見学に向かった。鎌倉の大仏は、八雲が大変感激した仏様である。八雲は大仏様の慈顔に日本人のおだやかな表情を重ね合わせた。大仏様の静けさに満たされたお顔から八雲は日本人の霊性を読み取ったようだ。 私たちのバスは、鎌倉大仏参拝から一路、江の島・藤沢へとひた走った。ここから私たちは、八雲が立ち寄ったと伝わる珍しい3つのスポットに足を運んだ。 まず1つは、極楽寺への道すがらに立つ日限(ひぎり)地蔵尊である。八雲が見たのは朽ち果てた六地蔵であったが、今は改修され、シャッターがつけられていた。 江の島神社では神官様から神社の由来と弁天信仰について心のこもった丁重な説明がありがたかった。 この後、私たちは、藤沢の柄沢にある隆昌院をお訪ねした。隆昌院は日蓮宗の寺であるが、鬼子母神をお祀りする寺として地元では知られている。ここでもご住職にお出まし頂き、隆昌院と八雲の関係を詳しくお話していただいた。鬼子母神は母の子への愛を表し、母性の神である。八雲は幼少期に母と生き別れ、生涯、母なるものを求めていた。八雲のこの心が、街の中心から離れたところにある隆昌院を探し当て、そこで、とても小さな鬼子母神様にであったのである。 最後に私たちが訪れたのは、藤沢駅北口付近にある庚申堂(こうしんどう)である。このお堂は、町ゆく人には到底気づかれないような質素なお堂である。八雲はこの道の神を祀るお堂を見て、日本の近代化とともに、廃れゆく日本の神々の末路におもいを馳せた。こうして、八雲の巡礼のバスツアーは終わったのである。
(早稲田大学名誉教授・鎌倉てらこや顧問)
訂正 鎌倉朝日10月号の「心のふる里を行く」㊽のタイトル「本人の幸福度はなぜ低いのか」は「日本人の幸福度はなぜ低いのか」の誤りでした。お詫びして訂正します。


鎌倉朝日新聞社

リヴィさんが入れてくれるスリランカ風ミルクティー

アルぺ入居者の急病に多額の募金集まる
 演劇生かしたメンタルヘルス支援も

ジャーナリスト 佐藤光展

祖国の紛争などで日本に逃れ、難民申請中の人たちが身を寄せるシェルター「アルぺなんみんセンター」(鎌倉市十二所)。緑に囲まれたこの施設を、鎌倉朝日の取材で訪れてから1年になる。 同センターは、イエズス会修道院の土地と建物を借りて、NPO法人アルぺなんみんセンターが2020年4月から運営している。今年11月半ば時点の入居者は8カ国、13人。今夏はウクライナ避難民も一時受け入れた。運営費は全国からの寄付金でまかなっている。 まだ開設3年だが、今年11月には、神奈川県弁護士会から人権賞が贈られた。センター事務局長の有川憲治さんは授賞スピーチで「国を追われた難民と友達、友人となり、名前で呼び合い、互いに支え合う関係づくりを地域社会で進める。これが私たちのミッションであり、地域全体で取り組むミッションでもある」と語った。 日本でカレー店を開きたいというスリランカ出身の男性リヴィさんは、センターを訪れる人に特製のカレーやミルクティーを振る舞っている。 敷地内の畑では、入居者と近隣住民が一緒に野菜を育てている。リヴィさんらが市内の小学校を訪問して、体験を子どもたちに伝える活動も始めており、鎌倉市民との交流が深まっている。 そして、介護の資格を取ってセンターを巣立ち、働き始める人なども出てきた。 だが、何年待っても難民認定されない入居者たちは、働いて金銭を得ることを禁じられているため自立できない。健康保険も使えないので、大病を患って治療を受けると多額の医療費がのしかかってくる。 今年9月、恐れていた事態が起こった。バングラディッシュ出身の50代の男性が突然、脳梗塞で倒れたのだ。治療で命は助かったが、病院に医療費の全額自己負担を求められ、以後のリハビリも宙に浮く状況に直面した。 この危機を救ったのが、多くの人の善意だった。センターが男性のための募金を10月末まで呼びかけたところ、600万円に到達。リハビリは済生会の系列病院が無料低額診療で受け入れてくれた。 しかし、不安定な境遇が長年続く入居者には、メンタルヘルスの不調も襲い掛かる。有川さんは語る。「自分で生きる力があるのに、全てを人に依存して生きざるを得ない生活はつらい。だから自分の殻に閉じこもる人もいる。難民認定や在留資格が出る目途が立たないと、将来への意欲を持ち続けるのは難しい。温かい支援に感謝し、笑顔をみせている入居者でも、心の奥底には忍耐と悲哀がある」。 入居者の中には、うつ病やPTSDを患う人が少なくない。精神科医の定期的な診察は受けられるが、こころの不調からの回復には医療以外のサポートも欠かせない。 そこで、筆者が有川さんに提案したのが、演劇を活用したメンタルヘルスサポートだ。筆者は近年、ジャーナリストとしての活動の他に、精神疾患のある人を対象とした演劇学校「OUTBACKアクターズスクール」に関わっている。スクール生の実体験をもとに、半年以上かけてオリジナル劇を作り、本格的な舞台で有料公演を行う。開校2年目ながら注目を集め、神奈川県の補助金や横浜市関連の助成金を受けている。 今年11月の横浜公演も満員札止めとなる人気で、出演者たちのメンタルヘルスは劇的に改善した。演劇づくりを通して自らの体験を捉え直したり、上下関係のない仲間との一体感を味わったり、観客を深く感動させたりする体験が、医療に負けない効果を生み出しているのだ。スクールのウェブサイトに動画も掲載しているのでご覧いただきたい。 スクールの練習拠点は横浜だが、新たな練習拠点としてセンターを使わせてもらい、入居者を交えた定期的なワークショップを実施したいと考えている。そして来年中には、入居者も出演する公演を横浜か鎌倉で開催したい。その先に、国籍も心身の障害も関係なく、いろんな人たちがごちゃまぜに暮らす楽しい社会を見据えながら。


鎌倉朝日新聞社

だんかづら

サンちゃん。ラブラドールレトリバーの女の子、3歳。遊ぶの大好き、ハムやごはんはもっと好き。お散歩は草が生い茂った田舎道がお気に入りです。
鎌倉市笛田 横田さん方

●ペットの写真募集
掲載後、その写真をカレンダーにして進呈します。
●歌壇・俳壇の投稿
ハガキ1枚に3首(句)まで。住所・氏名・を明記(歌壇・俳壇は作品と同じ面に)、1面題字下住所の鎌倉朝日へ。


鎌倉朝日新聞社

画廊・ギャラリー

●現代美術
草間彌生・村上隆 他 ギャラリー伸 24・4081
●ギャラリー一翆堂
五光窯 魅惑の彩磁器Ⅱ―藤本岳英・江里子展 12月1日~1月28日



お知らせ

●第17回鎌倉歌壇さきがけ源実朝公顕彰歌会
12月5日12時、鎌倉生涯学習センター。第1部歌人・谷岡亜紀さんの講演「乱世の歌、戦争の歌」。第2部歌会、表彰。選者は大下一真さん、木村雅子さん、谷岡亜紀さん、津金規雄さん。無料。
事務局FAX 66・3297
●鎌倉彫御朱印の展示会
「鎌倉十三仏詣り」の寺院の御朱印26個を一堂に。伝統鎌倉彫事業協同組合と鎌倉はんこが共同で制作。12月3日まで鎌倉彫工芸館。
同館 23・0154
●二つの法華堂と大倉御所―遺跡から
12月10日17時半、鎌倉生涯学習センター。北条泰時や源頼朝に関わる遺跡などの発掘調査成果から大倉御所の実像に迫る。無料。QRから申込。
大河ドラマ担当 23・3000
●腰越漁業協同組合の朝市12月1日10時、腰越漁業協同組合事務所前。
32・4743
●鎌倉漁業協同組合の朝市12月4日10時(8時半から整理券配布)鎌倉パークホテル駐車場。
22・3403
●ミニ園芸教室 12月17・18・24・25日10時半、鎌倉中央公園管理事務所。無料。


鎌倉朝日新聞社

阿弥陀如来及び両脇侍像

み る

▼川喜多映画記念館
映画をデザインする 小津安二郎と市川崑の美学
12月12日まで。小津と市川が生きた時代や背景、画面を構成する様々な要素をデザインの視点から検証。4百円。
▽関連上映 12月1日14時、4日10時半「お早よう」2・4日14時「彼岸花」各千円、小中学生5百円。
▽「お早よう」上映とトーク「小津映画とデザイン」(鈴木一誌さん)3日13時。1600円、小中学生8百円。
▽かまくら世界映画週間6~11日ウクライナの映画を上映。1200円、小中学生6百円。
【次回の企画展】映画の分類学入門―ジャンルで読み解くハリウッド
12月18日~3月12日。2百円、小中学生百円。
23・2500
▼北条氏展 vol.4
~北条義時の子どもたち
▽鎌倉時代を築いた一門
12月21日まで鎌倉国宝館。北条氏が創建した建長寺や円覚寺の禅宗寺院の美術品など。7百円。
22・0753
▽中世都市鎌倉の黎明
前期12月28日まで、後期1月11日~3月11日鎌倉歴史文化交流館。北条一門ゆかりの品や鎌倉の至宝を展示。4百円。
73・8501
▼冬の輝き―美人画と押絵羽子板
12月2日~1月9日鏑木清方記念美術館。清方が描く冬景色と押絵羽子板を紹介。3百円
23・6405
▼法会への招待
12月2日~1月29日県立金沢文庫。「称名寺聖教・金沢文庫文書」を読み解き、中世から現代まで続く法会という仏教儀礼の世界を資料や仏具、記録から知る。御巻数并卯杖図(国宝)、高僧像(県文)など。5百円。
045・701・9069
▼文学の森へ 神奈川と作家たち展 夏目漱石特別コレクションから
第1部12月3日~1月29日、第2部2月11日~3月26日神奈川近代文学館。漱石あて絵葉書のコレクションから約半数の50点を2部にわたって展示。260円。
045 ・622・6666
▼鎌倉彫21人展
12月5~11日鎌倉彫会館。伝統を継承しながら新しい表現を追い続ける令和の時代に生きる21人の作家の作品を展示。無料。
25・1500
▼人権作文表彰式&映画「コーダ あいのうた」 12月9日17時、逗子文化プラザ。全国中学生人権作文コンテスト入賞者の表彰と朗読。18時、映画上映。無料。要申込。
逗子市教育委員会 046・873・1111
▼湘南を描く 入江観展
12月10日~2月5日茅ヶ崎市美術館。近年の作品と、館や個人が所蔵する作品から、湘南を描いた代表作を中心に展示。7百円
88・1177
▼絵で伝えよう!わたしの町のたからもの絵画展~いつまでも住み続けられる町であるために
12月23~25日鎌倉生涯学習センター。市内の小中学生の作品約百点。
鎌倉ユネスコ協会・伊東方 31・9000



まなぶ

▼学習センターの催し
鎌倉市在住者優先。申込は催し名、住所、氏名、を明記し往復ハガキで各センターへ。
【玉縄学習センター】
A初春・江戸歌舞伎と市川團十郎 1月13・20日13時半、全2回。初代市川團十郎からと江戸歌舞伎の魅力に迫る。
B朗読の世界―豊かな表現をめざそう 1月17・24・31日13時、全3回。各無料。岡本2―16―3。A12月22日、B1月5日必着。
44・2219
【深沢学習センター】
ピアノ、フルート、ファゴットの名曲を聴く 1月15日13時半。無料。常盤111―3。1月4日必着。
48・0023
【鎌倉生涯学習センター】徳川家康の生き方に学ぶ歴史講演会 1月21日13時半。無料。小町1―10―5。1月10日必着。
25・2030
【腰越学習センター】
ミャンマーの世界遺産―バガンの仏塔群 1月22日13時半。無料。腰越864。1月12日必着。
33・0712



さんか

▼大船フラワーセンターの催し
▽コンサート12月4日クラリネットデュオ、18日クリスマスソング。各11・14時。無料。▽園長さんぽ11日10時。無料。▽夜間開園コンサート18日17時。無料。▽季節を彩るハンギングバスケットつくり1月15日10時半、4500円。12月26日までに申込。入園料4百円。
46・2188
▼サードエイジ連続講座 楽しく学び自分みがき 逗子市在住、在勤優先。
各9時半、逗子文化プラザ。無料。要申込。
▽自然の回廊を歩いてみま専科 12月4日。逗子の自然や歴史・文化を語り合う。午後、名越切通・まんだら堂回廊を歩く。(2百円)
▽廃棄でなく資源にするを学びま専科 12月18日。
ごみの資源化の意味としくみを知り、居住地の分別体験(ゲーム)をする。
▽SNSで暮らしを広げてみま専科 1月15日。60代・70代からでもSNSを使いこなすコツを学習。
逗子市社会教育課 046・873・1111
▼第17回湘南邸園文化祭
旧モーガン邸で楽しむクリスマスリース作り
12月8日11時~14時半(雨天18日12時~14時半)、藤沢の旧モーガン邸。千円。
旧モーガン邸を守る会メール1122morganhouse@gmail.com
▼逗子の市(雨天中止)
亀岡八幡宮境内。
▽フリーマーケット12月9日8時半~14時半。雑貨・衣類・手造り品など約20店。▽骨董市10日7時半~14時半。※フリマ・骨董市出店者募集中。
片岡方 090 ・5442 ・3778
▼鎌倉ユネスコ協会
▽バザー12月11日10~14時、同会深沢倉庫(深沢中学へ上る手前の信号右折の長屋)。毎月第2日曜、雨天開催。※献品受付衣類・着物・雑貨・支援用食糧品。
44・9830
▽書きそんじハガキでアジア寺子屋支援未使用切手・プリペイドカードなども。鎌倉市御成町11―2ヤノヤビル2F。
080 ・6602・9498
▼ふらっとカフェ鎌倉
食を通じて多世代交流
▽12月14日16~18時ソンベカフェ。クリスマスケーキのデコレーションなど。
▽16日17時半~18時半二階堂デイサービスセンター。国際交流、食育講座など。
各子ども無料、大人・テイクアウト5百円。
メール予約flatcafekamakura@gmail.com
渡邉方 090・5199・1654
▼鎌倉ガイド協会 古都鎌倉史跡めぐり
A再考!北条義時と鎌倉幕府 12月13・16日9時、鎌倉駅西口時計台広場集合。鎌倉国宝館、鎌倉歴史文化交流館の北条氏展など。約3㎞。
B鎌倉殿「ゆかりの地」めぐり―北条義時ゆかりの地めぐり 12月20日9時、鎌倉駅西口時計台広場集合。大倉幕府旧跡、義時法華堂跡など。
C新春の逗子・田越川沿いを歩く 1月6・9・23・31日9時半、JR逗子駅東口・海側改札集合。亀岡八幡宮、長柄桜山古墳など。約3・5㎞。
各7百円。交通費、拝観料別。HPから要申込。
※「鎌倉ガイド協会のガイド養成講座」の受講希望者を1月8日から募集。
24・6548
▼北鎌倉・台峯の緑をともに
▽山の手入れ12月17日10時、山ノ内配水池脇。
▽山歩き18日9時、山ノ内公会堂。
北鎌倉の景観を後世に伝える基金・望月方 45・7420
▼第53回鎌倉市民ロードレース大会
1月8日玉縄・城廻周回コース。市内在住、在勤、在学対象。小学生・中学生・高校生以上・一般女子など7部門に分かれて競技を行う。小学生、高校生以上は当日受付。中学生は12月31日までに手広中学校・齋田さんへ申込。小学生2百円、中学生3百円、高校生以上6百円。詳細はHP。
市陸上競技協会・山本方 090・8503・6421



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冬を彩るイルミネーション

▼鎌倉駅東口イルミネーション
12月1日~1月31日、16~22時。鎌倉駅東口ロータリーから若宮大路まで。鎌倉表参道商店会
▼長谷寺紅葉ライトアップ
~12月12日、日没~19時。拝観料400円。
長谷寺 22・6300
▼大船フラワーセンター 夜間ライトアップ
12月17日20時閉園、18日19時閉園。園内各所。
入園料400円 46・2188
▼湘南江ノ島駅イルミネーション
~2月28日、終日。湘南江の島駅館内。
湘南モノレール 45・3181
▼湘南の宝石 (江の島島内各所。シーキャンドル、サムエル・コッキング苑、岩屋は入場料別)
~1月6日、平日17時~20時半。1月7日~2月28日、平日17時半~20時半。土日祝日・12月23〜30日、17~21時。
0466・25・3525
▼えのすい・ジュエリウム 泡の小部屋 ~2月28日、開館~21時。
新江ノ島水族館 0466・29・9960
▼テラスモール湘南・terracemall shonan Xmas illumination 2022(JR辻堂駅) ~12月25日、17~23時。
0466・38・1000


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第24回かまくら市民活動フェスティバル

~いいまちつくろうKAMAKURA

市民団体同士の交流や市民の市民活動に参加する機会を作る目的で開催。「このまちでこんなことができたらいいな」「このまちをもっと住みやすくしたい」などの想いを共有する。 12月3日10~15時、鎌倉中央公園。絵本の読み聞かせやネイチャーゲーム、自然観察、手作りの雑貨 ・食品・衣類などの販売。 12月10・11日10~16時、鎌倉生涯学習センター。活動紹介のパネル展示や物販、SDGsフォトコンテスト表彰式(11時)、ワークショップ、人権・環境などをテーマにしたフォーラムなど。
鎌倉市市民活動センター 60・4555


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社会福祉法人鎌倉市社会福祉協議会

マスコットキャラクター愛称募集

設立 70 周年の節目にPR活動を行うマスコットキャラクターを募集し、42点の応募作の中から市民投票によりデザインが決定した。=上のイラスト。12月23日まで愛称を募集している。中学1年以上で鎌倉市内在住・在学者対象。詳細はHP。
市社協 23・1075



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季節の心(73)

初春に福を 佐伯 仁

損得の得より人徳の徳
師走。大晦日が明ければ新年。誰もが来る年の幸いを願い、難を逃れたいと願うのは当然。 夜明けと共に人々は初詣をかね、七福神巡りへ。 「七難即滅・七徳即生」と仏教にある。これが七福神巡りの始まりと言う説もある。背景に徳川家康の側近・天海僧正。 僧正は天下統一は七福神に負うと説き、家康は七福神の絵を描かせ、庶民もこれを信じ、巡る名所も数多く生まれた。 とくに正月2日、七福神が乗る宝船の絵を枕の下に敷き寝ると、福を得ると信じたとか。 福を望むのは人の常だが、願うのは損得の得ではなく、人徳の徳だったのではないか。 確かに七福神は人望や富を授ける神々だ。その神々はヒンドゥー教、道教、仏教など、背景は多彩をきわめる。 日本生まれの神は米俵に乗り、打ち出の小槌を持った大黒天のみ。 今日まで厚い信仰心を受け継ぐ人々の鎌倉市内の七福神巡りは、八か所への参拝が昔と変わぬ習わしになっている。 弁財天が2社―旗上弁財天と江島神社に祀られた神仏を敬う心が脈々と息づいているからに他ならない。
 七福神詣 弁財天で
  終わりけり 須賀敏子



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購入新図書のリスト抄

鎌倉市中央図書館(10月分)

鎌倉市中央図書館(25・2611)は10月に一般234冊、児童書31冊を収蔵した。一般的なものは下記の通り。 ▼「考える人のメモの技術-手を動かして答えを出す「万能の問題解決術」下地寛也著 ダイヤモンド社▼「すきま時間から始める自分磨きレッスン」日経BP(日経BPムック)▼「日清・日露戦史の真実-『坂の上の雲』と日本人の歴史観」渡辺延志著 筑摩書房(筑摩選書)▼「成功する家庭教育最強の教科書-世界基準の子どもを育てる」廣津留真理著 講談社▼「世界の見方が変わる元素の話」ティム・ジェイムズ著 草思社 ▼「隈研吾鎌倉に小さな英国アンティーク博物館をつくる訳」土橋正臣著 隈研吾監修 森日出夫写真 成山堂書店 ▼「からだ思いのグルメ調味料-選び方・使い方」岩城紀子著 主婦の友社▼「古都鎌倉で30年間続いた!伝説のビデオレンタル店から学ぶ遠隔経営術」田中博子著 セルバ出版▼「能装束精解-製作の現場から」佐々木洋次著 檜書店▼「心の整えかた-トップアスリートならこうする」田中ウルヴェ京著 NHK出版▼「養老先生のさかさま人間学」養老孟司著 さとうまなぶイラスト ミチコーポレーション▼「AI翻訳革命-あなたの仕事に英語学習はもういらない」隅田英一郎著 朝日新聞出版▼「誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方」今井孝著 幻冬舎



終の棲み家を考える(103)

財産について③

不動産(土地)を持つことに抵抗がある方がいるかもしれません。しかし財産を持つ場合土地はかなり安心して持てるものの一つです。法務局に登記をすることで、確実に所有権が守られます。有価証券や貴金属は相場に大きく影響されますが、首都圏の住宅地は安定しています。土地の保有は税金の問題や、隣地との関係やら多少煩わしい事もあります。土地を売ると損得が出ますが、そのまま持ち続ければ関係ありません。 賃貸物件を建てると税金面でもぐっと有利になります。家や部屋を賃貸するわけですが、賃料は景気の影響をあまり受けません。自己所有の土地なら建設費用は月間賃料の半分程度の返済で済むと思われます。初めから大きな事業を考えず、小さなものから始めることをお勧めします。 大企業が勧めるサブリースは大家さんのメリットが少なくお勧めできません。地元の不動産屋さんに頼むのが一番です。土地の購入から建設工事、入居者の募集・契約・集金・建物管理まで一貫してやってくれるところがあります。 戸建て住宅の取得が頭打ちになっている現状で、賃貸物件に生涯住み続けようとする動きが出てきています。
日向建設
鎌倉市大船1―15―3
0467・47・5454
http://www.hyuuga.co.jp/


鎌倉朝日新聞社

新設された逗子小の銘板の前で柳原校長(中央)ら

地域の学び舎として150年

逗子小が記念事業の「クリーンアップ大作戦」

今年5月25日に創立150周年を迎えた市立逗子小学校(児童数750人)で11月15日「逗子小学校区クリーンアップ大作戦」が行われ、同校とPTAの協力のもと全校児童が同校区域のごみ拾い活動を行った。 全校児童を24の縦割り班とし、首にかけた150周年ロゴ入りタオルを目印に市内へ繰り出し日頃の地域への感謝をこめて作業に当たった。 記念事業としてこのほか、書道の師範免許を持つ同校教諭の書による学校名の銘板の新設、児童から公募した図案で、創立記念日の給食に合わせ保護者が手作りで焼き上げたクッキーの配布、11月16日は、全校児童が校庭に150周年の人文字を描き上空からのドローン撮影に臨む記念映像の制作などが行われた。 初の女性PTA会長となった徳永理恵さんは「地域に発信することで、子どもたちに150年という長い歴史の中にいることに気づいてもらえた。PTAメンバーも積極的に関わってくれた」と、コロナ禍で縮小しながらも打ち合わせを重ねて事業に取り組んだことを振り返った。 同校の歴史は、日本最初の近代学校制度「学制」が発布された1872年(明治5)から始まる。当時の「逗子村」で学制発布以前から営まれていた民家の寺子屋が現在の逗子小学校の前身で、明治7年に小坪学校と逗子学校の2校体制での初等教育が開始し、1889年村立の尋常小学校となった。 1913年の町制施行を経て、1922年、県内で2番目となる逗子実科高等女学校(現県立逗子高校)を逗子小学校内に併設するが、翌年の関東大震災で校舎が全壊、教師1人が死亡という大きな被害を受けた。 震災被害や財政難、戦時中の国民学校令、横須賀市との合併や分離独立による改称など数々の時代の荒波を越え、1954年の市制施行に伴い逗子市立逗子小学校となり現在に至る。 明治の近代化以降の日本のあゆみを縮図にしたような歴史を持つ同校の柳原(やなはら)正広校長は「昔は逗子唯一の学びの場であり、現在も教育ゾーンとして図書館や文化プラザなどと一体化した中でのパイロット的な役割を担っている。医療的支援を必要とする特別支援教育もいち早く取り入れるなど、先進的な取り組みを続けてきた。逗子小の児童であることを誇りに未来の逗子、ひいては日本に貢献できるような大人になってほしい」と児童たちが引き継ぐ未来に期待を寄せていた。 (K)


鎌倉朝日新聞社

パン屋さんの窓に昔話

鎌倉の昔話をイラスト付きで展示

鎌倉子育てガイド

女性ボランティアグループ「鎌倉子育てガイド」(代表・入江麻里子さん)が、まちに伝わる昔話をイラスト付きで紹介する「鎌倉むかし物語」を企画、制作し、10月中旬から町の商店や図書館で展示を始めた。 鎌倉には場所が特定されている、地域ならではの物語がたくさんある。一方で、開発などで時間とともに景色も変化し忘れ去られようとしている。「そこで、この取り組みを始めた」という。 「かまくら子ども風土記」などの資料を掘り起こし、わかりやすい文章にして4コマのパネル風に仕立てていく。イラストは、長年地域を描き続けてきた画家の渋谷雅子さん、伊藤雅江さんの二人が担当。ネットに特集サイトもオープンした。 お店展示のトップバッターは玉縄のパン屋さん「ベッカーライ ジーベン」。店の窓に貼られたのは「五頭龍(ごずりゅう)」。深沢の湖に住んで、子どもをさらうなどの悪さをしていた五つの頭を持つ龍が、弁天様に恋をして改心するお話だ。 玉縄図書館には、さびれてしまった建長寺の三門の工事資金を集めるため、たぬきたちが和尚さんの手伝いをする物語「たぬき和尚」など2点が展示された。そばに関連図書が並ぶ。 パン屋さんに並んでいた女性客は「待っている間に読みましたよ」とニコリ。 今後、作品の本数を増やし、小学校の図書室や商店、小児クリニックなどに巡回展示していくそうだ。入江さんは「地域の子どもからお年寄りまで、忘れられつつある地元の話を目にして覚えてくれるといいなと思っています」と話している。


鎌倉朝日新聞社

ピーちゃん、どこにいるの? 寒くない?

今年4月、藤沢市柄沢のマンションの改修工事で業者が網戸をはずしたとき、部屋から飛び立ってしまったセキセイインコの「ピーちゃん」を飼い主の石井さんが探している。 メスで色は水色。一人暮らしの石井さん(73)を4年ほど前から見守っていてくれたという。
心当たりの方は石井さんへ 080・5040・7414


鎌倉朝日新聞社

鎌倉歩け歩け協会の役員たち=11月20日おだわらツーデーマーチで

活動30年でゴール

鎌倉歩け歩け協会

「鎌倉らしい情緒あるウオークをしよう」を掲げ、活動してきた鎌倉歩け歩け協会が、12月のウオークを最後に閉会する。 同会は、1992年6月に発足。以来30年間、鎌倉を拠点に10㌔~30㌔を歩く月例会、一日ゆっくり歩く「ふれあいウオーク」(5㌔)、短距離の「はつらつウオーク」、日帰りバスハイク、1泊の「トレッキングツアーなど平均して年間45回ほどの活動を行ってきた。 会員数は当初150人ほどだったが、500人を超える時期もあり、役員は一喜一憂した。コロナ禍でも自由歩行で活動を継続してきたが、このたび、役員の高齢化などの諸事情で活動に終止符を打つ。 会長の鈴木茂生さん(83)は「ウオーキングは体にいいのでぜひ続けて、健康にすごしてほしい」とメッセージを送っている。


鎌倉朝日新聞社

スケッチ日和(61)

「風が運んだ哲学者」 黒川 明

神社の銀杏がすっかり色づき、風にはらはらと散るのは山のクヌギだ。その葉が階段を下りる足元に降ってきた。まるで羽毛のように軽々と舞い降りて、なのに地上では音を立てて転がった。 階段を下ると小学校の脇を駅へと向かう。大きなスズカケが道に張り出している。その大きな葉が舞い落ちてくる。転がって道の端に移動する。そこにうずくまるように沈黙した。何をか考えているのか、と思うような一枚だ。 気が付いたら、拾い上げていた。
水彩 36×51cm



鎌倉年中行事

12月

▼成道会 8日於寺院。お釈迦さまが悟りを開いた日。
▼御鎮座記念祭・御神楽奉納 16日17時、鶴岡八幡宮。
▼歳の市 18日10時頃~20時頃、長谷寺参道。だるまや熊手の縁起物、しめ飾りなどの露店が並ぶ。17時~拝観無料。
▼大祓・古神礼焼納祭
31日11・13・15時、大祓。16時、古神礼焼納祭。鶴岡八幡宮。
▼除夜祭 31日17時、鶴岡八幡宮。
▼除夜の鐘のつける寺
大船観音寺、浄光明寺、青蓮寺、瑞泉寺、長谷寺(事前予約制)、満福寺、薬王寺、光明寺、浄智寺など。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、状況が変わる場合があるので、ご了承ください。


プロムナード

皆既月食と惑星食が同時に見られるのは日本では442年ぶりという極めて珍しい天体ショーが11月にありました▼国立天文台によると、日本で皆既月食中に、天王星食のような惑星食が見られるのは1580年以来で、次回は322年後の2344年の土星食と予想されるそうです▼この年数を聞いていると途方もなく遠いことのような気がしますが、鎌倉が首都であった時代はさらに昔になると考えると、なんだか少し近い時代にも感じます▼今年の大河ドラマを通じて、鎌倉時代や鎌倉に興味を持つ人も増えているようです▼将来「令和時代の鎌倉って、どんな文化があったのか?」と振り返ってもらうためにも、現在の文化などにも注視していきたいです。(N)


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